歯科衛生士向けセミナー

法的根拠に基づいて、歯科衛生士は知識・能力・技術があれば、歯科医師の指示のもとで歯科麻酔をすることが可能です。

歯科衛生士による浸潤麻酔について

行政による見解

1 麻酔行為は医行為であるので医師、歯科医師、看護婦、准看護婦または歯科衛生士でない者が、医師又は歯科医師の指示の下に、業として麻酔行為の全課程に従事することは、医師法、歯科医師法、保健婦助産婦看護婦法又は歯科衛生士法に違反するものと解される。その場合、いずれの法規に違反するかは、当該医師又は歯科医師の指示の態様によるものと解される。

2 看護婦が、診療の補助の範囲を超えて、業として麻酔行為を行うことは、医師法違反になるものと解される。

3 御設問の場合において、実態上医師の指示がないか、又は医師が指示することが通常不可能と考えられる状態において、医師でない者が麻酔行為を行なうことは医師法又は保健婦助産婦看護婦法に違反するものと解される。

歯科衛生士は、歯科医師の指示のもとであれば、医業として麻酔行為の全過程に従事できるという見解です。

学会による見解

日本歯科麻酔学会・日本歯周病学会

一般社団法人日本歯科麻酔学会および特定非営利活動法人日本歯周病学会の歯科衛生士による局所麻酔行為に対する見解(2022年9月21日)によれば、

浸潤麻酔行為を含む歯科治療に積極的に関わろうとする歯科衛生士の活動は支援するべきものと考えます。全身管理の知識を含めた局所麻酔に関する知識・技術は数日の講習会で得られるものではなく、歯科衛生士の卒前・卒後教育体制を整備して対応する必要があります。両学会は今後もこの教育体制の整備に協力する所存です。

と記載されています。

日本歯科医師会による見解

歯科衛生士の業務範囲に関する調査報告書(日本歯科医師会、昭和61年)によれば、

歯科衛生士は歯石除去術において、鎮痛の目的で浸潤麻酔を施すことができる

と記載されており、歯科衛生士の能力に応じて行っても良いとされています。